国民年金付加保険料とは
国民年金付加保険料とは国民年金に追加で月額400円納付することで、将来受け取れる年金を受け取れる制度です。(2023年12月現在)
受け取れる年金額は1年間に”付加保険料の納付月数×200円”です。
例えば、40年間(480か月)納付すると、65歳から受け取る際、1年間に9万6000円増額されます。
40年間の付加保険料の納付額は400円×480か月なので、19万2000円納付することになります。
ちょうど2年受給すれば、元が取れるお得な制度です。
注意すべきは、インフレが生じたとしても、受け取れる金額は変わらないということです。
インフレが起きれば、受け取れる金額が実質的に目減りするということですね。
例えば、インフレが生じて、納めた時期よりも物価が100倍になったとしても、受け取れる額は変わりません。
極端な話、インフレが100倍になれば、元を取るのに実質200年かかるということです。
これほど極端なことは起こりにくいと考えられますが、緩やかにインフレは起こっていくことが想定されます。
この記事では、インフレが生じた場合、元を取るためには何年受給すればよいかについて解説していきます。
インフレ率2%で元を取るために必要な年数
インフレが継続的に起こると、昔のお金は相対的に未来のお金に対して目減りします。
そのため、付加保険料を納めるにしても、納める年齢が高くなるほどインフレの影響を受けにくくなります。
今回のシミュレーションでは、付加保険料を納める年数を変えてシミュレーションしていますが、インフレに対して有利になるよう、納め終わる年齢を60歳で固定しています。
年金の受け取りは65歳から受け取るとします。
付加保険料 納付年数 | 付加保険料 納付年齢 | 納付保険料 | 付加保険料 受給額(年) | インフレで 実質減と なる割合 | 元を取るのに 必要な年数 (インフレ考慮) |
40年間 | 20歳~60歳 | 19.2万円 | 9.6万円 | 0.65倍 | 3.1年 |
30年間 | 30歳~60歳 | 14.4万円 | 7.2万円 | 0.71倍 | 2.8年 |
20年間 | 40歳~60歳 | 9.6万円 | 4.8万円 | 0.78倍 | 2.6年 |
10年間 | 50歳~60歳 | 4.8万円 | 2.4万円 | 0.85倍 | 2.3年 |
5年間 | 55歳~60歳 | 2.4万円 | 1.2万円 | 0.90倍 | 2.2年 |
インフレを考慮すると、同じ金額でもお金の価値が実質的に減っています。
その割合を、表5列目の”インフレで実質減となる割合”に示しています。
インフレ率2%では20歳~60歳までの間、付加保険料を納め、65歳から受け取った場合、インフレで実質的に0.65倍に減少します。
これを考慮すると実質で元をとるのに3.1年かかります。
65歳から受け取り始めれば、68.1歳で元が取れることになります。
その後は一生涯受け取れる年金が増えるので、悪くないでしょう。
納め始める年齢が遅くなるほど、インフレの影響を受けにくくなるので、それに応じて元をとるために必要な年数は少なくなりますね。
インフレ率3%で元を取るために必要な年数
次にインフレ率3%でシミュレーションを行います。
日銀の目標としているインフレ率が2%なので、それよりも少し高い水準です。
年金の受け取りは65歳から受け取るとします。
付加保険料 納付年数 | 付加保険料 納付年齢 | 納付保険料 | 付加保険料 受給額(年) | インフレで 実質減と なる割合 | 元を取るのに 必要な年数 (インフレ考慮) |
40年間 | 20歳~60歳 | 19.2万円 | 9.6万円 | 0.54倍 | 3.7年 |
30年間 | 30歳~60歳 | 14.4万円 | 7.2万円 | 0.61倍 | 3.3年 |
20年間 | 40歳~60歳 | 9.6万円 | 4.8万円 | 0.69倍 | 2.9年 |
10年間 | 50歳~60歳 | 4.8万円 | 2.4万円 | 0.79倍 | 2.5年 |
5年間 | 55歳~60歳 | 2.4万円 | 1.2万円 | 0.85倍 | 2.4年 |
インフレを考慮すると、同じ金額でもお金の価値が実質的に減っています。
その割合を、表5列目の”インフレで実質減となる割合”に示しています。
インフレ率3%では20歳~60歳までの間、付加保険料を納め、65歳から受け取った場合、インフレで実質的に0.54倍に減少します。
これを考慮すると実質で元をとるのに3.7年かかります。
インフレ率2%の時と比べると元を取るのに時間がかかりますが、それでも65歳から年金を受け取った場合68.7歳で元が取れるので、十分元が取れるでしょう。
インフレ率5%で元を取るために必要な年数
最後のシミュレーションはインフレ率5%で検討を行います。
インフレ率5%は2023年のような、かなり高いインフレ率が長期にわたって継続した場合を想定しています。
年金の受け取りは65歳から受け取るとします。
付加保険料 納付年数 | 付加保険料 納付年齢 | 納付保険料 | 付加保険料 受給額(年) | インフレで 実質減と なる割合 | 元を取るのに 必要な年数 (インフレ考慮) |
40年間 | 20歳~60歳 | 19.2万円 | 9.6万円 | 0.38倍 | 5.3年 |
30年間 | 30歳~60歳 | 14.4万円 | 7.2万円 | 0.45倍 | 4.4年 |
20年間 | 40歳~60歳 | 9.6万円 | 4.8万円 | 0.55倍 | 3.6年 |
10年間 | 50歳~60歳 | 4.8万円 | 2.4万円 | 0.68倍 | 2.9年 |
5年間 | 55歳~60歳 | 2.4万円 | 1.2万円 | 0.76倍 | 2.6年 |
インフレを考慮すると、同じ金額でもお金の価値が実質的に減っています。
その割合を、表5列目の”インフレで実質減となる割合”に示しています。
インフレ率5%では20歳~60歳までの間、付加保険料を納め、65歳から受け取った場合、インフレで実質的に0.38倍に減少します。
これを考慮すると実質で元をとるのに5.3年かかります。
70.3歳で元が取れる計算ですね。
日本人の健康寿命が男性70歳位、女性73歳位なので、人によりますが健康なうちに元が取れる計算となります。
5%の高いインフレ率が継続した場合でも、十分元が取れそうです。
まとめ
- 国民年金付加保険料は2~5%程度のインフレであれば、十分元が取れる可能性が高い。
- リスクとしては、早くに亡くなってしまう場合や、想定外のハイパーインフレ等が考えられる。